偵察衛星の運用準備を確認

米核戦略資産の朝鮮半島への展開、米国と追従勢力の侵略的な核戦争演習が幾度となく繰り返される中、敵軍の動向を正確に把握するための宇宙偵察能力の保有は朝鮮の安全保障に直結する重要な課題であった。11月、金正恩総書記は朝鮮初となる偵察衛星「万里鏡―1」号の打ち上げを参観(21日)し、正式な運用開始(12月2日)を控えて運用準備状況を連日にわたり確認した。

国防5カ年計画に則って

軍事偵察衛星の開発、運用は党第8回大会(2021年1月)で示された国防発展5大重点目標の一つ。昨年には偵察衛星開発のための重要試験が3回(2月27日、3月5日、12月18日)にわたり行われた。

金正恩総書記は今回、国家航空宇宙技術総局による偵察衛星の打ち上げを参観した翌日、同局の平壌総合管制所を訪問した。

米軍の主要軍事基地区域の航空宇宙写真を見た総書記は、朝鮮武力が今や万里を見下ろす「目」と万里を叩く強力な「拳」を共に手中に収めたと述べ、軍事的打撃手段の効用性を高めるためにも、自己防衛のためにも、より多くの偵察衛星を運用すべき必要性が提起されると再三強調。多様な偵察衛星をより多く打ち上げて軌道に配備し、朝鮮武力に敵に関するリアルタイムの情報を提供して対応態勢を高めるようにすべきだと語った。そのうえで、南朝鮮および太平洋周辺地域に対する当面の航空宇宙偵察能力造成計画を党中央委員会第8期第9回総会に提出しようとする国家航空宇宙技術総局の提議を承認し、同総会で2024年度偵察衛星打ち上げ計画を審議、決定すると述べた。同総会は12月下旬に招集される予定だ。

朝鮮中央通信によると、総書記は22日から25日まで4日連続で平壌総合管制所を訪問。また、同局の報告を6日間(22、24、25、27、28、29日)にわたり受け、偵察衛星の運用準備状況を確認した。総書記はこの間、米国各地の軍事基地、南朝鮮の重要標的地域、沖縄県の嘉手納空軍基地、ワシントンのホワイトハウス、ペンタゴンなどの対象を撮影した資料について具体的な報告を受けた。試験撮影された南朝鮮の重要標的地域11地域には、米軍もしくは南朝鮮軍の司令部や基地が存在する。

衛星写真は公開されていないものの、朝鮮中央通信は27日に米国バージニア州のノーフォーク海軍基地とニューポート･ニューズ造船所地域を撮影した資料で、米海軍の原子力空母4隻と英国の空母1隻が捕捉されたと報じている。

空軍の作戦指揮

30日、総書記は航空節(11月29日)に際して空軍司令部を訪問した。

作戦指揮所と作戦方案研究室を見て回った総書記は、空軍司令官から敵情と空軍の作戦計画に関する報告を受け、作戦指揮および状況管理情報化の実態を具体的に了解した。

総書記は、空軍司令部が敵情の管理および指揮システムの情報化、現代化を高い水準で実現したことを評価。敵のいかなる軍事的挑発や脅威にも即時的に、強力に対応できるよう空軍の戦闘動員態勢と戦争遂行能力を万全に高めるうえで提起される作戦戦術的方針を示した。

総書記は同日午後に朝鮮人民軍第1空軍師団の飛行連隊を訪問した際、戦いにおける勝敗はどんな思想を持って何のために戦うかにかかっていると述べ、すべての飛行士をいかなる試練が押し寄せても忠誠と百勝の航路だけを飛行し続けるよう準備させなければならないとした。(了)

金正恩総書記の活動日誌･2023年11月

■軍事

21日:偵察衛星の打ち上げを参観

22日:国家航空宇宙技術総局平壌総合管制所を視察

23日:国家航空宇宙技術総局の科学者、技術者と記念撮影

非常設衛星打ち上げ準備委員会のメンバーと記念撮影

偵察衛星の打ち上げ成功を祝う宴会に出席

24日:平壌総合管制所を視察、偵察衛星の運用準備状態を了解

25日:平壌総合管制所を視察、偵察衛星の運用準備状態を了解

27、28日:平壌総合管制所から25～28日までの偵察衛星の運用準備状況の報告を受ける

29日:平壌総合管制所から29日に撮影した衛星撮影資料と偵察衛星に対する細密制御に関する報告を受ける

30日:航空節に際して空軍司令部と第1空軍師団飛行連隊を祝賀訪問

■経済、人民生活

26日:龍城機械連合企業所を現地指導

■その他

26日:道･市･郡人民会議代議員選挙に参加

■祝電など

3日:100歳の誕生日を迎えた黄海北道銀波郡楚邱里の新しい農村で住んでいるリ･オンニョンさんに祝い膳※

9日:国家航空総局飛行安全検閲室の検閲員であるキム･ギョンス氏(空軍上将)の霊前に花輪※

10日:ラオスのトンルン･シスリット主席の誕生日78周年に際して花籠※

16日:シリアでの是正運動53周年に際してバッシャール･アサド大統領に祝電

(※)は朝鮮中央通信配信日

李永徳

李永徳