こんにち朝鮮半島情勢は、よりいっそう険悪な局面へと向かっている。軍事挑発に狂ったかいらい一味の無分別な妄動がその原因である。

罪を犯した者は口数多しと言うが、現在尹錫悦一味は、北南軍事分野の合意書破棄という重大な事態をもたらした自らの罪悪を覆い隠し、国際社会を欺まんするための謀略的世論の流布に没頭している。

彼らの主張を一言に凝縮すれば、現事態の根源はわれわれが北南軍事分野の合意書を「常時違反」したところにあるということである。

北南軍事分野合意書の効力さえ停止させたのは、まるで爆発物で充ち溢れた倉庫で火花をちらすのも同じという非難の声が、内外で絶えず発せられるや否や、あわてて見せるようになった行動である。

それこそ盗人が盗人だと叫ぶように鉄面皮な妄動と言わざるを得ない。いたちも面子があると言うが、そのような荒唐無稽なでたらめを言いふらして恥ずかしくなかったか。

ぶり返れば、北南宣言と合意を「やること」、「できぬこと」、「後でやること」などに切り裂いたあげく、ついには「全て無効」を宣告するような妄動を行なったのが、まさに歴代かいらい一味である。

尹錫悦一味はこの問題で先任者顔負けの名手である。

先日ロシア外務省の公式代弁人は、北南軍事分野合意書は朝鮮半島で安定を維持し、大規模紛争をもたらしうる非武装地帯における武力衝突を防ぐうえで重要な役割を果たしてきたと主張した。

ところがこのような合意書の履行はおろか、その存在自体を全面的に否定してきたのが、まさに尹錫悦一味である。

執権前から9.19北南軍事分野合意書を「安保放棄覚書」、「政治的演劇」だと罵倒してきた逆賊一味は、執権後、わが国家と軍隊を「明らかな主敵」、軍事的対決を「国策」として宣布した。今年1月には、尹錫悦逆徒が直接、かいらい安保室と国防部、合同参謀本部の連中に9.19北南軍事分野合意書の効力停止の推進を指示した。それによってかいらい軍部連中は、合意書の効力停止のための手順熟達演習まで行なった。この厳然たる事実を否認することができようか。

かいらい国防部長官なる者が、北南軍事分野合意書は間違った合意である、必ず破棄すべきである、最大限すみやかに合意の効力を停止させるように最善を尽くすべきだと公然と唱えたことはまた、何と弁解するつもりか。

北南軍事分野合意書の「常時的違反」の問題も同様である。

地上と海上、空中をはじめすべての空間で、軍事的緊張と衝突の根源となる相手に対する一切の敵対行為を全面中止することになっていた合意書の内容を、かいらい軍部ごろつきは、それこそ執拗に拒否してきた。

かいらいは、われわれに対する核攻撃を狙った米国との「核協議グループ」を作り上げて稼動させ、主人と結託してわれわれに対する不意の奇襲攻撃を熟達するための合同軍事演習を絶えず強行した。昨年だけでもかいらいは、米国と共にわれわれに対する「先制攻撃」を狙った軍事演習をおよそ250回余りにわたって強行した。今年に入ってからは、米国の核戦略爆撃機「B-1B」、「B-52」、原子力航空母艦「ニミッツ」号打撃群、核潜水艦「ミシガン」号をはじめとする核戦略資産を次々と引き込み、歴代最長の「フリーダムシールド」合同軍事演習と史上最大規模の「双龍」連合上陸訓練、「連合合同火力撃滅訓練」、連合攻撃編隊郡訓練など多種多様の北侵先制攻撃演習を狂ったように行なった。

敵が軍事境界線一帯で、砲撃訓練を中止することに対する北南軍事分野合意書第1条第2項に違反した例も多い。前線地域でのスピーカー放送による挑発、かいらい軍艦船と偵察機によるわが方領海および領空侵犯も情勢を極度に緊張させた。戦争の火の粉をやたらとまき散らすかいらい一味のこの危険極まりない妄動を、単に好戦狂の無謀な空威張りとだけ見ることができようか。けっしてそうではない。

かいらいの狂乱は、事前に作られたシナリオにもとづく意図的なものである。

北南軍事分野合意書の破棄によって、軍事境界線一帯における反共和国敵対感情を吹聴し軍事的挑発を制約する障害物を除去することが、尹錫悦一味の第一の目的である。

かいらいは、北侵を狙った軍事的挑発と反共和国心理戦の本格化を謀ってきた。その実現のために、われわれの偵察衛星打ち上げを口実に北南軍事分野の合意書第1条第3項、すなわち軍事境界線の上空で固定翼、回転翼航空機と共にドローンや気球の飛行を禁止した条項から急いで効力を停止させたのである。

軍事境界線一帯で衝撃的な事件を起こしてわれわれの軍事的対応を誘発するようになれば、深刻な統治危機からの脱出口を切り拓くことができるというの、尹錫悦一味のさらなる腹黒い下心である。

現在、極度の無知無能と不正腐敗、反人民的悪政によって四面楚歌の危機に陥った逆賊一味は、「北風」をでっち上げて保守層を集結させ、反政府勢力を弾圧して統治制度を支えた先祖の妄動を踏襲しようとしている。まさにそのため、このように極めて愚かな軍事的賭博に固執している。

しかしこのように無謀で無分別な北南軍事分野合意書破棄策動は、世界で膨大な武力が最も高密度に、かつ鋭くに対峙している軍事境界線地域で、偶発的な軍事衝突を防ぐ最小限度の装置、最後の禁制線を完全に除去し、挑発者は自らすすんで破滅の墓穴を掘った格好になってしまった。

侵略の前哨基地と発進基地を一気に吹き飛ばす強力な戦争抑止力を完璧に整え、如何なる形態の対決にも主動的に対処しうる最精鋭の強兵、米国が誇る戦略兵器も単なるくず鉄の山としか見なさぬわが革命武力とあえて向かい合うと無分別にふざけるかいらいが実に可笑しくて仕方ない。

軍事主権を外部勢力に完全に奪われた植民地の手先、米帝侵略軍の安価な弾除けにすぎないかいらい軍などは、われわれの相手にもならない。生涯かいらいとして生き、主人の足の裏をなめることを誇りと考える間抜けな売国奴にはとうてい知ることもできず計算することもできないのが、まさにわれわれの無尽強大な軍事的威力である。

そのようなかいらいが、何かと言えば「断固たる対応」だのなんだのと虚勢を張り、「たたかって勝利しうる戦闘型軍隊」などと見栄を張って振舞っていることこそ、猟師の前でかあかあと鳴くような愚かで愚鈍な行為である。

日増しに強化されているわれわれの政治的・軍事的威力と、根本的に変化した戦略的地位を努めて無視し、米国と結託して反共和国対決と北侵戦争の火遊び騒動に明け暮れはしゃぐその姿は、世界の笑いものになるだけである。

尹錫悦一味は、何をもっても朝鮮半島情勢を統制不能の局面に持ち込んだ、無責任で重大な政治的・軍事的挑発行為の責任から逃れることができず、悲惨な破滅の運命を免れることはできない。(了)

ホ・ヨンミン

ホ・ヨンミン